Q&A


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Q1.スリットダムA、B型の差違について

Q2.土石流ピーク流量の算出方法について

Q3.透過型ダム非越流部の安定計算(流体力の算出)について

Q4.鋼製砂防構造物の耐用年数、環境対策・コスト縮減について

Q1.スリットダムA、B型の差違について
A1..B型は、立体フレームとすることで土石流の偏芯荷重に対する安定度をA型よりも高めたものであり、通常土石流区間の本堤ではB型が用いられ、土石流区間の副堤または掃流区間ではA型が用いられてきた。形式選定に際しては、これまで「平成2年度流木対策に関する講習会テキスト」((財)砂防・地すべり技術センター)における記述が広く参考とされてきた。
Q2.土石流ピーク流量の算出方法について
A2.
1)土石流ピーク流量の算出方法については現在、国土交通本省や土木研究所において検討中である。事業実施が急がれる場合は施主と相談の上、従来の理論式の値を用いることも考えられる。
2)「河川砂防技術基準(案)」によれば副堤の設計は本堤に準じるとある。そのため、本堤の水通し断面を土石流ピーク流量で決定した場合は副堤の水通し断面の設計も同様に行うことになる。
3)「流木対策指針(平成12年版)」によれば土石流区間で副堤に流木捕捉工を設置する場合の副堤の安定計算については、本堤で土石流全てが捕捉されると想定される場合は掃流区間として洪水時の検討を行い、本堤で土石流全てが捕捉されないと想定される場合は洪水時の検討に加えて、土石流時の検討も行うこととなっている。
Q3.透過型ダム非越流部の安定計算(流体力の算出)について
A3.
1)「土石流対策技術指針(案)」には袖部の安定計算に用いる土石流水深を決定する堆砂勾配について記述されていないが、礫衝突の際の土石流水深が「第1編2.4.3(16)式で求める」との記述が参考となる。すなわち渓床勾配を用いるものと思われる。「土石流対策技術指針(案)に基づく設計例」(平成2年建設省土木研究所)では渓床勾配が用いられている。
2)土石流水深を算出する際の流れの幅については、「土石流対策技術指針(案)」では「土石流発生時に侵食が予想される平均渓床幅(B)と同等」となっているが、実際の設計においては上記Bではなく堰堤上流の谷幅や水通し幅の値が用いられることも多い。「土石流対策技術指針(案)に基づく設計例」(平成2年建設省土木研究所)では水通し幅の値が用いられている(平均渓床幅4m、水通し幅3mとなっている)。
Q4.鋼製砂防構造物の耐用年数、環境対策・コスト縮減について
A4.
1)鋼製砂防構造物は最小の腐食しろを1.5mmとして、衝撃や摩耗の予想程度に応じて耐摩耗材料での被覆や腐食しろの加算を行っている。各種調査・実験から普通鋼材(無塗装)の腐食速度は田園地帯、内陸都市の大気中では0.01〜0.02mm/年程度以下、土中では0.02〜0.03mm/年程度であることなどが報告されており、特殊な環境(酸性河川、特殊な土壌、常時湛水状態)でなければ、腐食しろ1.5mmでは、一般の土木構造物の耐用年数である50〜80年程度の間は腐食しろ控除後の設計板厚が保証されると考えられる。
2)鋼製砂防構造物は鋼材の強度、じん性を生かして部材断面寸法が小さくでき、透過部を広くとることができる。そのためコンクリート透過型堰堤のような閉塞感が少なく環境対策としてすぐれている。
3)コストについては単純に比較すれば鋼製砂防堰堤とコンクリート堰堤は大差がないようであるが、コンクリートスリット堰堤を土石流区間に適用する場合に堰上げた土砂礫が減水期に一気に下流へ流下する危険性を指摘する意見もあり、土石流を一気に閉塞する鋼製構造物については、そのような機能面についても考慮されるべき。
 (また、現採土砂を鋼製不透過型堰堤の中詰め材として利用でき、掘削残土軽減が図れることはコスト低減に寄与すると考えられる。)