鋼製砂防構造物とは?
 

新しい砂防をめざして

 社会的ニーズが多様化する時代にあって、安全を確保しつつ環境にやさしく、さらに流木対策にも大きな効果を発揮する鋼製透過型砂防堰堤に、期待が高まっています。
 「砂防鋼構造物研究会」は、鋼製砂防構造物の新しい技術の研究、適用分野の開拓などのニーズに応えるため、メーカーのノウハウを結集して、砂防技術の開発に取り組んでまいります。
 当研究会は、国土交通省砂防部、一般財団法人砂防・地すべり技術センターのご指導を受けつつ、気候変動に伴い頻発・激甚化する土砂災害の防止と緑豊かな自然の回復、人命と財産の保全に微力ながら貢献する所存です。

鋼製砂防構造物の特長

 

1.砂防分野の様々なニーズに対応できます。

 鋼材は優れた強度特性を持ち加工性がよく設計の自由度が高いことから砂防分野における様々な要求に対応しています。
 粘り強い鋼製構造の特性を活かしこれまでにも、土石流の捕捉、減勢、土砂の調節などに有効な「鋼製透過型堰堤」や、土石流発生防止、渓岸渓床の侵食防止、地すべりの抑制などに有効な「鋼製不透過型堰堤」を生み出してきました。

 

2.自然環境にやさしい砂防構造物を提供できます。

 鋼材はリサイクル率が非常に高く、また自然環境にもやさしい材料です。
 「鋼製透過型堰堤」は、開口部が魚道の役割を果たし生態系にやさしく、自然環境にも調和します。また堰堤上下流の景色が見渡せるので景観にも優れています。
 「鋼製不透過型堰堤」は、現地発生材を中詰材として有効利用でき、多目的自然の壁体を容易に形成できるため自然との調和に優れています。
 今後も自然環境にやさしい砂防構造物を提供していきます。

 

3.流木対策に大きな効果を発揮します。

 最近の土砂災害で注目を浴びている上流域からの流木対策に、最有力な施設として威力を発揮しています。
 今後、大量の流木を確実に捕捉できる構造物として技術開発に取り組んでいきます。

鋼製砂防構造物とは

I. 冗長性(リダンダンシー)

@各部材は溶接・ボルトにより剛結された鋼管フレーム構造
A 一部の部材の破損が堰堤全体の崩壊につながらない高次の不静定構造物
B 主な部材は構造部材としての板厚を有す

II. 製作体制

@ ISO9001「品質マネジメントシステム」による品質管理体制下での工場製作
A仮組検査を実施し、高い組立精度を保証

III. 施工性

@プレハブ化された各部材により、現地での施工管理が容易かつ安全・迅速な組立が可能

IV. 経済性

@土石流の作用を直接受ける箇所の主要な部材は構造部材を使用
A 部材の損傷・破損に対するリスクが低いため、ランニングコストの抑制が可能